NieR Blog

ALL ENTRIES

2025年06月30日

第3回:アートのハナシ

Lv1.特別ゲスト

和田
こんにちは。
「NieR Re[in]carnation(以下、リィンカネ)」シニアシナリオライターの和田です。
リィンカネの開発秘話をお届けするブログ「リィンカネの作り方」も第3回となりました。
今回のテーマは「アート」ということで、特別なゲストをご紹介します......!

ももぢる氏
こんにちは。リィンカネでキャラクターデザインを担当していました、ももぢる氏です。

和田
本日はよろしくお願いします。
そして......今回はなんと、ゲストがもうお一人いらっしゃいます。

羽山
リィンカネでコンセプトアートを担当していました、羽山です。よろしくお願いします。

和田
リィンカネを開発した株式会社アプリボットさんから、アートに携わっていたお二人をゲストとしてお迎えすることができました。

羽山
なんだか緊張しますね......しっかりお話できるよう頑張りたいと思います。

和田
あまり気を張らずで大丈夫ですよ(笑)
では、さっそくになりますが......お二人がどのようにリィンカネに関わっていたかを自己紹介を兼ねてお願いできればと思います。

ももぢる氏
まずは僕からいきますね。
僕はキャラクター衣装や武器デザインのディレクションをしたりもしていたんですが......とはいえ、「4コマの人」って言うのが一番伝わるかもしれません。

和田
4コマ漫画「#リィンカネな人々」ですね(笑)
僕達NieRシナリオ班が作ったネームを、ももぢる氏さんがイキイキとしたイラストで仕上げてくださっていました。

b03_lv01_01.jpg

リィンカネの公式Xで連載された4コマ漫画「リィンカネな人々」。完成した4コマ(左)は、ネーム(右)をもとに描かれた

ももぢる氏
連載ということで大変でもあったんですが、楽しく描かせてもらえました(笑)

和田
図形と文字だけで構成されたネームが、こんな素敵な4コマに生まれ変わるなんて......今見返しても驚きです(笑)
それでは、次は羽山さんにお話伺わせてください。

羽山
僕は主にコンセプトアートを描いていました。サービスの後半では、キャラ以外の部分でアートディレクションをしたりもしていましたね。

和田
コンセプトアートというと、ゲームの背景アートのようなものを連想しますが......羽山さんが担当されたものの一例を聞いてもいいでしょうか?

羽山
そうですね、少し変わり種かもしれませんが......僕がリィンカネに参画して初めて担当したのが「黒いカカシ」のコンセプトアートでした。

和田
カカシの話題になるのは予想外でした(笑)
ちょっとアートを探してみますね。えっと、これかな......

b03_lv01_02.jpg

黒いカカシは、リィンカネの舞台である『檻(ケージ)』に点在する像。このようなオブジェクト類もコンセプトアートが描かれデザインの方向性が決まる

羽山
それですそれです。
キャラのモチーフとシルエットだけでデザインする必要があったので、初めはコツを掴むのに苦労しましたね。

和田
リィンカネでは結構な数のカカシが登場しますしね。デザインパターンを考えるのも大変そうです。

羽山
本当にそうなんですよ。最終部の「ヒトと世界の物語」が、新キャラがたくさん出てくるシナリオだったら危なかったかもしれません......(笑)

和田
お二人ともありがとうございます。
では、それぞれ担当された範囲について、さらに深掘りしていきたいと思います。

ももぢる氏羽山
よろしくお願いします。

和田
今回はお二人の話にあわせて、アートも色々ご紹介したいですね。
それではよろしくお願いします......!

Lv2.キャラクターデザインの作り方

和田
まずはももぢる氏さんを中心に、「キャラクターデザイン」について、詳しくお話を聞いていきましょう。

ももぢる氏
わかりました。

和田
クリエイティブディレクターのヨコオさんやNieRシナリオ班の僕達は、アプリボットさんからアートを受け取って監修をさせてもらう訳ですが、それまでの工程でお話できるエピソードなどありますでしょうか?

ももぢる氏
そうですね......それなら、衣装デザインを考えるときに"仮ストーリー"を作っていたというお話をしたいと思います。

和田
仮ストーリー?

羽山
リィンカネでは主に、アートを先行して描いて、それにシナリオや設定を後付けしてもらう方式だったじゃないですか。

ももぢる氏
なので、アートを描く段階でもとっかかりがほしかったので、デザイナーが勝手にストーリーを考えて付けていたんです。

和田
なるほどです。どんなストーリーだったのか気になりますね(笑)

ももぢる氏
例えばフィオだったら、街で差別を受けていて貧乏なイメージが前提にあったので......「夢の中で、着せかえ人形のように衣装を着せられている」とったストーリーを考えていました。

b03_lv02_01.jpg

「少女と怪物の物語」の主役キャラであるフィオの衣装デザイン

和田
あれ、もしかしたら、それを担当ライターも感じ取っていたのかもしれません。

ももぢる氏
え、本当ですか?

和田
はい。フィオの衣装に付けられたフレーバーテキストに、「ユメの中の世界」「着せかえ人形」という言葉を使っていたものがありましたよ。

b03_lv02_02.jpg

コスチュームに付与されるフレーバーテキストの管理表(一部抜粋)

ももぢる氏
デザイナー側で考えたストーリーをお伝えしたことはなかったと思うので、意図が伝わっていたとしたらうれしいですね。

羽山
他にもリィンカネ特有のエピソードだったら、全体的に彩度を抑えるっていう"色の制限"もお話できそうだね?

ももぢる氏
うんうん。それならこの機に、僕の思い入れのあるアートを例に出して話してみようかな。

b03_lv02_03.jpgb03_lv02_04.jpg祭典シリーズの衣装コンセプトを決めるためのラフアート

和田
これは祭典シリーズの衣装ですね。しかも、ゲームではお披露目できなかったアートも入っているじゃないですか......!

ももぢる氏
こちらの衣装は、もともとヨーロッパ圏のお祭りだったり、サーカスの衣装をモチーフにしていました。

和田
それらの衣装は、もっと彩度が高めで派手なイメージがありますね。

ももぢる氏
はい。でもリィンカネのデザインとして落とし込む過程で、作品が持つ色彩のトンマナを守るよう彩度を抑えていったんです。

羽山
色だけでなく、衣装の「時代感・機能性を無視しないもの」というのは意識していましたよね。

和田
確かに同じ祭典シリーズの衣装だったとしても、中世な世界観のフィオと、超未来な世界観のキャラでは時代感が違っていることが感じ取れますね。

ももぢる氏
実は、衣装の素材だったり、生地の縫い目の出し方ひとつをとっても、キャラが生きた時代にあわせていたりします。

羽山
そこはとにかくこだわってアートを作っていましたよね。

和田
シナリオが後付けで、色の制限があって、キャラの時代感も混在して......と、リィンカネならではの制約で苦悩されていたということがひしひしと伝わってきました。

ももぢる氏
そうですね、開発後期にいくほど大変でした......(笑)

Lv3.コンセプトアートの作り方

和田
続いて、羽山さんを中心に「コンセプトアート」についてお話を聞いていきたいと思います。

羽山
頑張ります。

和田
羽山さんがコンセプトアートに着手するとき、初めにどういったことをされるんでしょうか?

羽山
他のアートと同じくまずはラフを用意するんですが、僕の場合は絵で描かずに3Dモデルを作ってしまうこともあります。
画像をお見せしたほうがわかりやすいと思うので......これですね。

b03_lv03_01.jpg

コンセプトアートのラフ替わりで制作された3Dマップ

和田
これは開発中「アラビアンナイト世界」と呼ばれていた世界の、王国のモデルでしょうか。ゲーム中に映らない範囲の街並みも作られていたんですね(笑)

羽山
はい。このモデルを使って、カッコよく見えるカメラアングルを見つけていくんです。そこから絵を何枚か起こして......という制作の流れですね。

b03_lv03_02.jpg

b03_lv03_03.jpg

3Dモデルをもとに製作された、砂と海の王国のコンセプトアート

和田
ところで、見せていただいたアートの場所では、ゲーム中バトルが発生していましたよね。そういったこともアート段階で考慮されているんでしょうか?

羽山
もちろんです。
コンセプトアートを描くときに、バトルをする広さがあるのか? シナリオでどんなイベントが起こるのか? みたいなことも全部考えておかないといけません。

和田
ゲームの仕様も諸々加味するとなると、かなり難易度の高い作業に思えます......

ももぢる氏
その点だと、「太陽と月の物語」の『祭壇』はかなり苦労していたよね?

羽山
あー、そうだったかも。

b03_lv03_04.jpg

「太陽と月の物語」で訪れた『祭壇』のコンセプトアート。様々なパターンが描かれ検討された

和田
確かに『祭壇』では、シナリオでの重要なイベントがいくつも起きますからね。

ももぢる氏
主人公の高校生2人が出会ったり、太陽と月が重なったり、バトルをしたり......盛り沢山ですよね。

羽山
なので、そもそもどんな『祭壇』のデザインにすれば、それらすべてを叶えることができるのか? と、かなり悩みました。

和田
羽山さんを悩ませた原因は、僕にもありそうです。これは「太陽と月の物語」で初期の頃に書いたプロットなんですが......

b03_lv03_05.jpg

「太陽と月の物語」のシナリオの骨子がまとめられたプロットの一部

ももぢる氏
『祭壇』の情報、数行しか書かれてませんね(笑)

和田
はい......初期のプロットはシナリオの流れを俯瞰するために、ロケーションの情報まで具体的に書いてはいかなったので。

羽山
結局3か月ほど悩み続けましたね(笑)

和田
3か月......

羽山
最終的には、『祭壇』の空間全体を3Dモデルで起こしてからイメージが固まり出して、今の形に収まりました。

和田
思った以上に悩ませてしまっていたようです......今度、ご馳走させてください......

羽山
いえ、お気にならさらずに(笑)

Lv4.お気に入りアート

和田
名残惜しいですが、お二人からアートの話を聞けるのも後少しとなってしまいました。

ももぢる氏
あっという間に時間が過ぎちゃいましたね。

和田
最後は軽めの話題で、お気に入りのアートなどを伺っていければと思います。

ももぢる氏
そうですね......先ほどお話した祭典シリーズの衣装もそうですが、パパと黒いママのデザインもお気に入りだったりします。

和田
それなら僕もよく覚えていますよ。パパと黒いママのラフデザインが大量に描かれているアートをいただいて、どれも可愛くて選定をすごく迷いました。

b03_lv04_01.jpg

「太陽と月の物語」のナビゲーションキャラクターである、パパ(上)と黒いママ(下)のラフアートの一部

羽山
そういえば、パパと黒いママのことも、和田さんのプロットにはほとんど情報が書かれてなかったですよね(笑)

和田
そうだと思います......「パパ」と「黒いママ」という名前しか情報がない中、デザインを作っていただいた訳ですね。本当にすみませんでしたとしか......

ももぢる氏
いえ、お気になさらずに(笑)

和田
では、羽山さんはいかがでしょう?

羽山
どれも思い出深いアートばかりで選びきれませんが、あえて挙げるなら「ヒトと世界の物語」の最終章のアートでしょうか。

和田
最終章というと、『巣箱』やラストバトルのエリアですかね。

b03_lv04_02.jpg

b03_lv04_03.jpg

リィンカネにおける最終章のコンセプトアート。『巣箱』と呼ばれる巨大な建造物(上)と、ラストバトルのデジタルステージ(下)

羽山
はい。きっとこれがリィンカネ最後の仕事になるんだろうなと思っていたので、それまで培ったものをすべてつぎ込んで制作したつもりです。

ももぢる氏
ラストバトルで言うと、攻撃のモーションやエフェクトとかにも羽山さんが関わっていたよね?

羽山
はい。ラストバトルのエリア全体でデジタル感のある雰囲気を出したかったので、細かいところまで手を入れさせてもらいました。

和田
お二人をはじめとしたアートの皆さんの尽力によって、リィンカネの魅力が支えられていたんだなと再認識できますね。貴重な話をありがとうございました。

ももぢる氏
僕達もアートのことを色々お話できてよかったです(笑)

和田
それじゃあ最後に、ついでのついでで......アプリボットさんからいただいたアートの中で、僕のお気に入りもちょっと紹介させてもらってもいいでしょうか......(笑)

???
(会議室のドアをノックする音)

和田
......ん?

???
あのー、失礼しまーす。

和田
あれ、福嶋さん(NieRシナリオ班)がいらっしゃいましたね。どうしました?

福嶋
対談中にすみません......あの、和田さん。対談時間をオーバーしていて、ヨコオさんとの会議時間とっくに過ぎていますよ?

和田
............あ。
いや申し訳ないです。今すぐに行きますから。

福嶋
それが......「和田さんいないじゃん」って言いながら、帰っちゃいました。ヨコオさん。

和田
ええっ、それは困りますよ? 「今日中に絶対ヨコオさんに確認を取れ」と言われている書類が山ほどあるんですが......?

ももぢる氏
ちょっと、話し込みすぎましたね(笑)

和田
対談が長引いてしまってすみません......実はお二人と久々にお話できるのがうれしくて、内心舞い上がってしまっていました。

羽山
やっぱり、和田さん少しテンションがヘンでしたよね? 開発期間中のミーティングでは、あんまり笑わないイメージだったので......(笑)

和田
この対談が記事になったら、僕の話に「(笑)」が異様に多く付いていると思います......

ももぢる氏
(笑)
それより、ヨコオさんを追いかけなくていいんですか?

和田
まあ、このあと和田が各所からツメられるだけなので、お気になさらず(笑)

羽山
それは、ちょっとは気にしたほうがいいんじゃないでしょうか......

和田
それはさておいて......この対談を締めていきましょう。お二人から読者の皆さまへ一言お願いします。

ももぢる氏
はい。今でもこうしてリィンカネを追ってくださり、本当にありがとうございます。
開発に携わったメンバーは、今はそれぞれ別のところで戦っていますが、リィンカネでの経験やキャラクター達のことは心に残り続けています。これからもずっと皆さんと一緒に、それらの思い出を胸に過ごしていきたいなと思っています。

羽山
サービス終了が決まってからも、不思議とチームの雰囲気は全然落ちていなかったことを今でも覚えています。社内にもファンの皆さまのお声が届いていて、それらが開発メンバー達の支えになっていました。この場を借りてお礼を申し上げます。

和田
お二人とも、そして読んでくださった皆さま。
本日は、本当にありがとうございました......!

ももぢる氏羽山
ありがとうございました......!

<おわり>

追記

対談中、時間の都合でご紹介できなかった和田のお気に入りアートを掲載。

b03_lv05_01.jpg

「太陽と月の物語」ワンシーンのコンセプトアート。「NieR:Automata」に登場したあるロケーションが再現されているが、リィンカネの雰囲気にあわせて光る花「月の涙」の咲く量などが調整されている

b03_lv05_02.jpg

「太陽と月の物語」ワンシーンのコンセプトアート。主人公である男子高校生の周囲に、様々な「対立」を連想させるイメージが浮かび上がっている

2025年05月28日

第2回:キャラクターのハナシ

Lv1.お体大丈夫ですか?

和田
皆さんこんにちは、和田です。
「NieR Re[in]carnation(以下、リィンカネ)」の開発者ブログ「リィンカネの作り方」第2回を始めようと思います。ではさっそく、ゲストの方をお呼びしましょう。

松尾
こんにちは。松尾です......

和田
松尾さんは、リィンカネの第1部である「少女と怪物の物語」のリードシナリオライターとして、シナリオ全体をまとめてくれていました。

松尾
よろしくお願いします......今はシナリオのお仕事からは一旦離れて、別の形でNieRシリーズに関わっています。

和田
あれ......松尾さん、ちょっと元気ないです? 風の噂で聞いたんですが、転んで膝を骨折されたとか。

松尾
そうなんですよ。履いていた登山靴の靴紐に足をひっかけてしまって。たはは(笑)

和田
笑いごとではないと思いますが......大変な時にゲストに呼んでしまってすみません。

松尾
イエ、大丈夫ですよ。もともとお医者さんにも「綺麗に割れてるね」と言われていて、だいぶ治ってきてますからね。

和田
ご無理なさらず......
それにしても、リィンカネ初期にアルゴーのお話を書かれていた松尾さんが登山靴で怪我をするなんて、少しだけ運命を感じますね。

松尾
僕とアルゴーは運命共同体なのかもしれません。

b02_lv01_01.jpg

アルゴーは、山登りを生きがいとする屈強な男。彼の登山靴には靴紐は......ない

和田
今回は「キャラクター」がテーマなので、せっかくですし、まずはアルゴーの話から始めていきましょうか。

松尾
そうしましょう。
僕の中のアルゴーのイメージは、寡黙な「昭和のガンコ親父」なんです。でもいつの間にか、お客様の間で「面白おじさん」みたいな扱いになっていました。

和田
面白おじさん......(笑) 
アルゴーがそういう扱われ方をされたのって、何がきっかけだったんでしょう?

松尾
どうだったかな? 定かではないですが、"水着"が出たイベントでしょうか。

和田
ああ......リィンカネがリリースされて初めての夏イベントで、壮年男性の水着コスチュームが配布されたあの時ですね。

b02_lv01_02.jpg

2021年に開催された夏のイベントで、満を期してリリースされたアルゴーの水着コスチューム。他のデザインパターンも検討されていた

松尾
ハイ。しかも、そのイベントで公開されたストーリーの主役が別の女性キャラで。アルゴーはその背景アートにちらっと出てくるだけなんです。

b02_lv01_03.jpg

アルゴーが小さく映りこんだスチルアート。様々な画面比率のデバイスで表示できるよう、アートは大きめに描かれている

和田
色々と訳があってそうなりましたが、ネタにされても仕方ないと言えばそう......

松尾
まあ、もともとアルゴーは崖から転げ落ちても頑なに山頂を目指すようなキャラなので、面白おじさんとして扱われる素質はありそうですけど。

和田
否定できないです。

松尾
なので、僕も骨折なんかに負けずに、張り切ってこの対談に臨みたいと思います!

和田
そこまでアルゴーを踏襲しなくても......ともかく、無理せずよろしくお願いします。

Lv2.大事なことは最後に決める

松尾
今回テーマが「キャラクター」ということで、何を話したものかと考えたんですが。リィンカネにおいては、「キャラクターの設定は一番最後に決める」ということをお話ししようかと。

和田
順番で言うと、初めに描かれたキャラクターのアートに対して、シナリオを考えて、最後にキャラ設定が決まる......という感じですね。

松尾
ハイ。僕自身、最初めちゃくちゃ驚いたんですけど。

和田
僕も、キャラ設定をある程度先に決めるのかなと思ってました。

松尾
最初からガチガチに設定を固めてしまうと、シナリオの自由度を阻むから面白くならない。「大事なことは最後に決める」......というのが、ヨコオさんの教えでしたね。

和田
ちょうどよさそうな資料があったので、これを見ながら具体的に話していきましょう。

b02_lv02_01.jpg

企画初期にキャラクターの方向性を検討するためのラフアート。王子リオン(一番右)や、義肢の女フレンリーゼ(一番左)の姿も描かれている

松尾
これって、企画初期の「荒野の三人組」のアートでしたっけ。

【荒野の三人組】
リィンカネのストーリーにおける、冒頭1~3章に登場する3人のキャラクターの総称。西部開拓時代を思わせる荒野を舞台に、彼らの生き様が描かれた。

和田
そうですね。とはいえこの頃は、3人のシナリオが荒野の世界で展開されるとは、まったく決まっていませんでした。

松尾
デザイナーさんが残しているメモを読むと、もともとは「NieR:Automata」に絡んだイメージがあったみたいですね。

和田
ポッドも描かれていますしね。このアートがそのまま採用されていたら、今とは別のシナリオになっていたでしょうね。

松尾
そうそう、僕もちょうど「少女と怪物の物語」のシナリオを作っていた頃の画像を持ってきましたよ。どの順番でキャラを登場させるかとか、ペアをどう組み合わせるかとかをヨコオさんと話をしていた時のものです。

b02_lv02_02.jpg

暫定的に決められた「少女と怪物の物語」におけるキャラクターの登場順番。最終的なシナリオの順とは異なっている

和田
ペイントソフトで即席で作った感満載ですね。開発資料のすべてが綺麗に整理されているわけではないことが、よくわかります......

松尾
まあ、開発資料はそんなものですよ。

和田
色々と気になる点があると思いますが......順番に話していきますか?

松尾
そうしましょう。

和田
とりあえず......「変な形状」って?(笑)

松尾
そこ、やっぱり気になりますよねぇ(笑)
「山男」というのはアルゴーの開発名称なんですけど、「変な形状」のペアがいたらどうなっていたんでしょう。

和田
少なくとも、1人で黙々と山に挑んだりはしていなかったかもしれませんね......

松尾
それでもアルゴーには、山に挑んでいてほしい気持ちがあります。

和田
(笑)
あとは、"1"と書かれたところに、先ほど言っていた「荒野の三人組」の最終的なデザインが配置されていますね。

松尾
その3人が組み合わせになることがこの段階で決まって。この後シナリオが作られる過程で、荒野の世界だったり、王子と従者みたいなキャラ同士の関係性が決まっていくわけです。

和田
さて、そうしてキャラアートや登場順が決まった後、ライターさんが自由にシナリオを考えていくのですが......その観点で印象的だったエピソードってありますか?

松尾
そうだなぁ......例えば、主人公のレヴァニアが棲む「怪物の世界」がよくわからなかった話とか。

和田
よくわからなかったというと?

松尾
怪物世界のコンセプトアートが既に用意されていたので、それに合わせてシナリオを考えていくのですが......

b02_lv02_03.jpg

よくわからない世界のイメージを固めるための「怪物の世界」のコンセプトアート。中心にはレヴァニアが描かれている

和田
あの世界、何も設定がなかったと思うのでシナリオの自由度が高そうですね。

松尾
自由度が高すぎて、逆に何を書いていいのかわからないパターンです(笑)

和田
そういうこと(笑)

松尾
まあ、当時は担当ライターさんも色々悩んでいましたけど。その後何度か怪物の世界を描くストーリーもあったので、今はいくつか決まっている設定もありますよ。

和田
「大事なことは最後に決める」ですね。

松尾
ハイ。

和田
でもそれなら、もう少しリィンカネで怪物世界を描く機会があればよかったんですけどね......

松尾
NieRシリーズ20周年で、また小説を書けるといいかもしれませんよ? シリーズ主人公達が一人も登場せず、様々な怪物達が登場する怪物世界の話を。

和田
マニアックすぎてボツになると思います......

Lv3.キャラマスター

和田
さて、アートからシナリオができて、ようやくキャラクターの設定が作られていくフェイズに入ります。

松尾
長い道のりですね。

和田
作られた設定は「キャラクター設定シート」と呼ばれる資料にまとめています。例えば、「リオン」の設定シートは......

b02_lv03_01.jpg

リオンのキャラクター設定シートの一部。キャラクターの性格など、様々な項目がまとめられている(※クリックで拡大してご覧ください)

松尾
ここまで設定が決められていると、キャラがどんな人物像かしっかりイメージできますねぇ。

和田
ですね。あとはリィンカネのシナリオを担当したNieRシナリオ班には、「キャラマスター制度」みたいなものがあって。

松尾
キャラ毎に、そのキャラのことを知り尽くしている担当者を決めるんですよね。

和田
はい。基本的に「キャラマスター」が、そのキャラのシナリオ原案を考えたり、設定を決めたりしています。

松尾
アルゴーのキャラマスターはもともと僕でした。当然、2Bだったり10Hなど既存のシリーズキャラは、しっかりヨコオさんを通る確認フローになっていたりします。

和田
とはいえ、やむなく他のライターさんに一部執筆を頼むケースはでてきてしまうんです。

松尾
お仕事ですからね。

和田
だから、キャラ設定シートに大事なことをまとめておいて、誰がシナリオを書いても齟齬がないようにする仕組みというわけです。

松尾
キャラの細かい心情のニュアンスとかは、ライターさんが変わるとどうしても変わってしまいますもんね。

和田
そこが難しいところです。すごく大切な部分でもあるので。

松尾
ところで、その体制だとリィンカネキャラが勢ぞろいする「ヒトと世界の物語」は、大変だったんじゃないですか?

和田
お察しの通りです......
毎章、複数人のキャラが登場するので、シナリオが更新される度にキャラマスター全員を集めて確認したりしていました。

松尾
まさにシナリオ班総出で作ったシナリオというわけですね。

和田
です......

松尾
ちなみに和田くん的に、監修で気を付けていたエピソードは何かありますか?

和田
ええと、そうですね......ちょうど設定シートをお見せしたリオンで言うと「言葉遣い」を注意したことがありました。

松尾
リオンということは、「ヒトと世界の物語」の4章「琥珀の章」のシナリオですかね。

b02_lv03_02.jpg

「ヒトと世界の物語」の4章「琥珀の章」では、王子リオンと、盗賊の少年ユディルが共に『檻』を旅した。画像は開発中のゲーム画面

和田
ですです。その章では、リオンが同年代の少年キャラと一緒に旅をするんですが......セリフが書かれたテキストの初稿だと、リオンがかなりフランクな喋り方になっていました。

松尾
ううむ......同年代の少年同士の旅ですし、そういう喋り方で書いてしまう気持ちもわかりますけど。

和田
ただ、リオンの設定シートからは「従者であるディミスが特別で、彼に対してだけは平易な言葉遣いになる」ことが読み取れるので。そこは尊重すべきかなと。

松尾
確かに。

和田
ライターさんには申し訳ないのですが、結局リオンのセリフをすべて礼儀正しい敬語に直してもらいました。

松尾
......その話を聞いて少し気になったんですが、「ヒトと世界の物語」に登場するアルゴーは少しコミカルな印象だったかな?

和田
うーん、そうだった気もします......いがみ合う女性陣の間に突然召喚されて、唖然とするシーンとかありましたしね......

b02_lv03_03.jpg

「ヒトと世界の物語」のプロローグでは、魔女サリュと和装の女アケハが争っているど真ん中に突如アルゴーが召喚された。画像は開発中のゲーム画面

松尾
アルゴーの設定シートには、しっかり「昭和のガンコ親父」ってキャラ性が書いてあるんですけどね。ほら。

b02_lv03_04.jpg

アルゴーのキャラクター設定シートの一部。確かに、昭和のガンコ親父という記載がある(※クリックで拡大してご覧ください)

和田
え、いや、別に監修漏れというわけではないですよ? あのシーンでは少し間の抜けたアルゴーの一面を出した方が、絶対面白くなると思ったんです。
「大事なことを最後に決めた」だけです。

松尾
その言葉を、都合よく使い始めましたね......

Lv4.運命を共にする

松尾
裏設定なんですが、アルゴーはラップ好きでして。

和田
ラップ? 昭和のガンコ親父の話はどこへ行ったんですか?

松尾
アルゴーの設定シートを見ていたら思い出してしまって(笑) 
ほら、これですこれ。

b02_lv04_01.jpg

松尾さん作詞、アルゴーのような山を愛する者たちに伝わる唄。実はラップだった(※クリックで拡大してご覧ください)

和田
アルゴーの「シークレットストーリー」として実装されたフレーバーテキストですね。韻をふんでいたので妙に頭に残ってます。

松尾
ハイ。これのノリは実はラップなんです。

和田
松尾さんがライターだった時点で、アルゴーが面白おじさん扱いされるようになるのは必然だった気がしてきました......

松尾
まあ、キャラクターも人も性質は変わっていくものですから。なんなら、僕自身のキャラ性も変わりましたよ。人生後半に差し掛かり、すっかり病人キャラ扱いされてしまって。

和田
またアルゴーに合わせてきましたね?
でも、たまたま膝を痛めたってだけで、病人キャラというイメージは特にないですけど?

松尾
こないだのゴールデンウィークに子供から胃腸炎をもらって、家に籠って子供用のジュースだけをひたすら飲んでました。実は他にもあって、毎日薬をバリボリ飲んでますよ。たはは(笑)

和田
いやいやいや、本当に笑いごとではないですって......

松尾
そうこう話していたら、そろそろ時間ですかね。皆さん体は大切に......ということで。

和田
はい......松尾さん、今回はありがとうございました。
そして、読んでくれた皆さまも健やかにお過ごしください......!

松尾
今もリィンカネを愛し続けてくれるお客様がいてくださり、うれしい限りです。
ありがとうございました!

<おわり>

2025年04月28日

第1回:開発初期のハナシ

Lv1.リィンカネの作り方?

和田
こんにちは。
NieR Re[in]carnation(以下、リィンカネ)」シニアシナリオライターの和田です。
シニアシナリオライターっていうのは、なんといいますか......脚本を書くライターの中でも、中途半端に地位が高い雑用係みたいなものなんですが......

それはさておき。
この度、NieRシリーズ15周年の企画の一環として、リィンカネの開発を振り返ってのブログを書くことになりました。いわゆる、「開発者ブログ」といわれるものですね。

では、さっそく今回のゲスト......僕と同じ「NieRシナリオ班」に所属しているシナリオライターの方に登場してもらいましょう。

NieRシナリオ班】
スクウェア・エニックスで2018年から活動している、主にNieRシリーズのシナリオライティングを担当するチーム。NieRシリーズのクリエイティブディレクターであるヨコオタロウ氏の指導のもと、シナリオを書いたり、雑用をこなしたり、振り回されたりしている。

福嶋
いきなり呼ばれてきました。NieRシナリオ班の福嶋です。
あの、これ、なんか真面目な感じの話をしなきゃいけないやつですか?

和田
正直に言うとですね......まだよくわかっていません。

福嶋
呼んだ和田さんがわかってないってどういう事ですか?(笑)

和田
とりあえず、毎回シナリオ・アート・音楽とか何かしらテーマを決めて、開発資料を載せたり開発裏話を話したり......というブログにしたいとは思っています。

福嶋
ふむふむ。

和田
ただ、和田が一人でやろうとすると、論文みたいな堅苦しいブログになりかねないじゃないですか。

福嶋
ああ、和田さんは元システムエンジニアですからね。

和田
だから第一回目に、チームの中でも陽気で明るい福嶋さんをゲストに呼んで、楽しそうな雰囲気のブログにしてもらおうと目論んだわけです。

福嶋
つまり、今回の記事によって、今後のブログの方向性が決まると?

和田
そういうことです。

福嶋
わかりました。お任せあれ!

和田
頼もしい限りです(笑)
福嶋さんと僕の2人は、NieRシナリオ班の設立当初から一緒に仕事をしている"1期生"で、一番付き合い長いですからね......ひとつお願いします。

福嶋
それじゃ、まずはお互いどういう業務を担当しているか、簡単に話しておきましょうよ。

和田
僕はNieRシナリオ班のリーダーをやっていて、シナリオの執筆と監修、ゲームの実装チェック、声優さんの音声収録の立ち合い......だったりと、シナリオに関わること全般をやっています。

福嶋
チーム全体のまとめ役ですよね。

和田
あとは......日々ヨコオさんから降りかかる"理不尽な要求"から、チームのみんなを守ることも大きな仕事のひとつですかね......

福嶋
和田さんはなんでも屋というか、色々大変ですよね......

和田
福嶋さんの方の業務内容はどうでしょう?

福嶋
私は、リィンカネの「少女と怪物の物語」制作時は、『檻(ケージ)』後半7~12章のセリフを書いたり、しばらく休職期間などありつつ、復帰後はママのセリフを書いたりしていました。

b01_lv01_01.jpg

ママは、リィンカネのマスコット的キャラクター。布を被ったオバケのような姿で、物腰柔らかい母親のような喋り方をする

和田
後半7~12章といえば、運送屋のセリフも福嶋さんが書いてましたよね?

福嶋
そうですそうです。運ちゃんっていう呼び方も、『檻(ケージ)』内のセリフを書きながら生まれました。

和田
実は僕の中では、福嶋さんの人柄って運送屋とイコールなんですよ。

b01_lv01_02.jpg

運送屋は、ママに似た姿をしたキャラクター。サラリーマン気質で、徹底的に現実主義

福嶋
えっ!? どのへんが!?

和田
福嶋さんは、普段しっかりした方なんですが、たまに急にはっちゃけたりするじゃないですか。「これぞウィンウィンッ!!!!」とか、リアルで言い出してもおかしくなさそうというか......

b01_lv01_03.jpg

「これぞウィンウィンッ!!!!」は、メインストーリー「少女と怪物の物語」での運送屋のセリフ。画像は開発中のゲーム画面で、グラフィックなどがブラッシュアップ前のもの

福嶋
どちらかというと、ママに似てるって言われるほうがうれしいんですが......

Lv2.ウェポンストーリー修行

和田
自己紹介も済みましたし、ブログの第一回目ということで「リィンカネの開発初期のエピソード」というテーマで話をしていきましょうか。

福嶋
私たちがシナリオ班に入って、ほぼ最初の仕事がリィンカネの企画でしたね~。「ウェポンストーリー」書き直し事件、覚えてます?

和田
ありましたね......当時は毎日、朝みんなが出社してから30分くらいで、集中してウェポンストーリーを1本書きあげる、というのをやっていた時期で。

福嶋
シナリオ班の武者修行的な感じですよね。何も考えずに、がむしゃらに書き溜めていったもんだから、それを見たヨコオさんにNGを食らって......まずは世界観とかの前提を決めなさいということでした。

和田
それでボツになったものもそれなりの数あったような。

福嶋
リィンカネを隅々までしっかり見てくださっているお客様はお気づきかもしれないですが、武器やコスチュームについているフレーバーテキストには、シリーズ毎にテーマが決まっているんですよ! 例えば、こんな表にまとめたりして。

b01_lv02_01.jpg

フレーバーテキストのルール表(※クリックで拡大してご覧ください)

和田
複数人のライターさんがバラバラなものを書いてしまわないように、内容や書式のルールを決めるのはほんと大切です。

福嶋
フレーバーテキストを書く時は、必ずこの資料を見るんですよね。テーマが決まるとライターとしてもありがたいけど、ときには難しいテーマもあったり......

和田
試行錯誤しながらそれなりの数を書いた気がしますが、もう何を書いたか忘れてしまったな......

福嶋
あ。私、和田さんが書いたウェポンストーリーで、印象に残ってるやつあります!

和田
え、どれだろう?

福嶋
グリフの「頑護の銃」だったかな。仲間の兵士たちが、グリフについて話すだけのやつです。

b01_lv02_02.jpg

武器の情報がまとまった管理表の一部。Lv1~Lv4と書かれた列に「頑護の銃」のウェポンストーリーも掲載されている(※クリックで拡大してご覧ください)

和田
よく覚えてますね......

福嶋
リィンカネ開発初期の頃は、他の人が書いた文章とか読み合ったり、何かと相談しあう機会が多かったから、1期生が書いたものは結構印象に残ってますよ。

和田
他にも、初期の思い出って何かありますか?

福嶋
うーん......
あ、私はやってないんですが、和田さんはキャラクターデザインのための参考アート集めしてませんでした?

和田
やってましたね。
キャラクターのデザイン発注のために、「こんなイメージでお願いします」っていう参考画像をあちこちから探しました。僕は高校生の制服の写真をひたすら集めたり......
当時、一緒に画像集めをしていたメンバーがいたんですが、アートセンスが尖りまくった人で。ヨコオさんも「どこからこんなアート見つけてくるの!?」って驚くぐらい、奇抜なアートを拾ってくる達人でした......(笑)

福嶋
その尖ったアートが、きっとキャラクターの初期アイデアに色々反映されてるんでしょうね(笑)

和田
あの奇天烈な画像たちから魅力的なキャラクターを生み出すデザイナーさんは、本当にすごいですよ......

b01_lv02_03.jpg

リィンカネの主人公キャラクターについても様々な姿が検討された。少女と怪物(左)、ファンタジー世界の学生(右)のようなデザインアイデアも存在した

Lv3.合宿という名の檻

和田
あと、開発初期の思い出といえば「合宿」じゃないですか? ヨコオさんとシナリオ班で、都内の旅館に泊まり込んでシナリオを作ったりしましたよね。

福嶋
あー、そんなことあったかも?

和田
まあ、合宿というと楽しそうに聞こえますが......
実際のところ、ヨコオさんからシナリオが全く出てこないので、旅館に閉じ込めて無理やり書いてもらうという企画でしたけど。

福嶋
少女と怪物の物語のメインストーリーは、その合宿で書き始めたんでしたっけ?

和田
そうでしたね。あれ、福嶋さんはあんまり合宿のこと覚えてないですか?

福嶋
うーん、覚えてない。もしかしたら、休職してた期間かもしれない。

和田
福嶋さんはシナリオ班に入ってから、産休・育休をとってますもんね。

福嶋
リアル"ママ"ですから。だから、運送屋じゃないし!

和田
根に持たないでください(笑)
合宿では、和室の大広間にスクリーンとプロジェクターを置いて、PCの画面を映してですね。そこでヨコオさんが、リアルタイムで「少女と怪物の物語」のメインストーリーのあらすじを書いていくような形式でした。それを見ながら僕たちシナリオ班が、あれこれ意見を言って......そして夜になったら、最近遊んだゲームの分析なんかを話しあったりしましたね。懐かしい。

b01_lv03_01.jpg

合宿を経てできあがった、「少女と怪物の物語」のシナリオのあらすじ。この骨子をもとに、キャラクターたちのより詳細な台詞が作られていった

福嶋
"......そう。それはとってもいい機会だったわね。"

和田
......わね?

福嶋
"ママ、感動しちゃう。そういう時代を経て、今があるんだもの......"

和田
急にママ風に喋るのやめてください(笑)
いやでも、これこそ今回福嶋さんを呼んだ意義なのかもしれない......

福嶋
"うふっ。リィンカネをつくっていた頃のお話、もっともっとしたいわ。
ママ、思うのよ。毒にも薬にもならない話をして、誰がブログを読んでくれるっていうの? ママ、みんなにしっかり届けたい。リィンカネ開発の光と闇......そしてヨコオタロウの光と闇を......──"

和田
そんなこと言って、このブログが炎上でもしたらどうするんですか?

福嶋
"平気よ。仮にこのブログが炎上したとしても、怒られるのは和田さんだもの。"

和田
ですよね......

Lv4.リィンカネを想って

和田
さて、開発ブログ「リィンカネの作り方」の第一回目ということで、開発初期の思い出を色々話してみました。

福嶋
こんな内容で本当に大丈夫なんですか?(笑)

和田
どうでしょう......(笑)
でもまあ、ブログを読んでくださったお客様の反応を見つつ内容もアップデートしていけたらなと。とにかく今回に限っては、「リィンカネの開発資料が見れたり、開発裏話が聞けるブログなんだ」......ということだけ、覚えておいていただければと思います。

福嶋
それにしても、サービスが終わってしまったリィンカネの話をまたできるとは思いませんでしたよね。

和田
NieRシリーズ15周年のおかげですよ。シリーズの周年なのに、その3作品目であるリィンカネを遊ぶ手段がないなんて、悔しいですもんね。
ゲームを遊べることの代わりにはならないと思いますが、少しでもお客様にリィンカネを覚えていただく助けになれればいいなーと思います。

福嶋
そうですね!
NieRシリーズ15周年記念としては、このブログだけでなく「スペシャルノベル」のほうも是非読んでほしいです。ちゃんとリィンカネのエピソードも公開されていますから。

和田
はい。そちらも楽しんでいただける話になったと自負しています。

福嶋
ママのモノマネしてたら、久しぶりにママのセリフを書きたくなってきました(笑)
では、私も次回の更新を楽しみにしたいと思います! 読んでくださってる方も、ありがとうございました~。

和田
楽しんでいただけたらいいなと思いながら、ありがとうございました......!
僕たちもまたリィンカネの話ができて嬉しいですし、頑張って更新していこうと思います。

福嶋
ウィンウィン~ッ!!!!

<おわり>