皆さん、こんにちは。
私の名前はマット・オルソンです。
Double Helix Games でアートディレクターを務めています。
正直に言うと、橋本さんをはじめ、スクウェア・エニックスのメンバーと初めて打ち合わせをした時はとても気後れしましたが、同時にワクワクもしていました。ゲーム業界でも屈指のデベロッパーと一緒に、非常にやりがいのあるエキサイティングなタイトルを制作できると思うと、最高の気分でしたね。

「フロントミッション」は、重厚かつ奥深い歴史を持つ世界観を確立しているため、私たち独自のバージョンを制作するのではなく、その歴史を理解し、土台にする必要があると感じていました。
アートスタイルを一から作り直そうとするのは、陥りやすい間違いの1つだったでしょう。長年の間に「フロントミッション」のアートスタイルがデザイン面で劇的な変化を遂げたのは確かですが、すべて同じルーツから発想を得たものなのです。
スクウェア・エニックスは当初、確立されたキャラクターやヴァンツァーのデザインを持ちこみ、これらのアイデアに対する「欧米的」な解釈を求めてきました。ご存知の通り、スクウェア・エニックスは非常に印象的なゲームキャラクターを使用しているため、それは難しい挑戦となりました。私たちは、さらにリアルで生々しいキャラクターを生み出そうとしましたが、そのアイデアを追及していく中で、スクウェア・エニックスのタイトルに求められるキャラクターからかけ離れ過ぎてしまうことに気付いたのです。ということで私たちは男性キャラクターに現実的な力強さを確実に持たせることに重点を置くことにし、 女性キャラクターにおいては、傾向として挑発的なセクシーさを強調することにしました。

ヴァンツァーについては、スクウェア・エニックスとImaginary Friendsが下地を固め、過去のシリーズに登場するヴァンツァーのデザインを土台として、新たな面白いスタイルを作り上げました。デザインの新たなスタイルは、かなり角のあるレイヤード型で、非常にユニークな外観をオリジナルデザインにプラスしています。また、私たちはこのミックスにさらなるデザインを追加しました。主として、プレイヤーが戦う巨大なボスキャラのヴァンツァーなどです。

「アポロンの戦車」という傭兵部隊が乗る全く新たなデザインのヴァンツァー Apollo.jpg

複数の手足を持つ巨大な歩行型の巨大要塞

Fafnir.jpg 

 その他にも色々と登場します。お楽しみに!
全フロントミッションシリーズにおける目玉の1つが、ヴァンツァーのカスタマイズです。当然「フロントミッション エボルヴ」においても、カスタマイズやその他 の要素が盛りこまれています。目標は、プレイヤーが最大限自由にヴァンツァーを作成できるようにすることです。
カスタマイズでは、細かなカラーリングの設定や数百あるデカールをヴァンツァーに貼りつけたり、装甲の光沢を変更することもできます。プレイヤーは迷彩柄のリアルな戦闘マシンや、眩い光沢ピンクのヴァンツァー、マットブラック仕上げのヴァンツァーなど、様々なヴァンツァーを思いのままに作成できます。
「フロントミッション エボルヴ」の背景デザインでは、コントラスト、奥行き、雰囲気に重点を置いています。直面した課題の1つは、ニューヨーク市を造りあげることでした。ゲームは約200年後の未来を舞台としていますが、私たちは単に「未来」というイメージで覆い尽くすのではなく、ニューヨークだと認識できるようにしたかったのです。
「フィフス・エレメント」や「ブレードランナー」のような映画をヒントにし、ニューヨークの摩天楼に追加した一層近代的な建物 については、ドバイ、東京、香港の建造物から発想を得ています。

「フロントミッション エボルヴ」の制作は大変ですが、満足感を得られる素晴らしい経験でもあります。私たちが制作を楽しんだのと同じくらい、皆さんもプレイを楽しんでくれることを願っています。
それでは!