こんばんは、水田です。
今回は僕が音楽を担当しています、「ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士」のお話をしたいと思います。
このゲームは、携帯電話のアプリなのですが、毎月毎月新しいシナリオが配信され、
プレーヤーはそれをクリアするごとに新たなジョブが使えるようになるというシステムのRPGです。
シナリオは、約1年にわたって追加され、主人公たちの物語と成長を長ーく楽しめるというわけです。
さて音楽なのですが、ケータイのアプリということで、メモリー容量はとても少なく、
使える楽器もあらかじめ決められた基本的なものしか使用できないという、二重の制限のある中での曲作りです。
いつもでしたら、まるで本物の楽器のような音色を出すことができる大容量の音色ライブラリーや、
いろいろなシンセのたぐいを駆使して曲をつくるのですが、
今回は、最終的に鳴らすのはケータイ電話の内蔵音源です。
どんなに豪華なデモを作っても、とてもケータイの音源では再現できません。
ですので、今回は潔くシンセ1台、ローランドのJV-2080のみで作ることにしました。
使える楽器も決められていて、最新のプラグイン音源も使えません。
こう聞くと、不自由でつまらないように聞こえるかもしれませんが、それがさにあらず。
ゲーム音楽屋さんは、このように「ぎちぎちに」しばられた環境を与えられると逆に、
「よし、その制約の中で最高のものをめざしてみよう!」とばかり張り切るものなのです。
まあ、タチのよい逆切れとでもいいましょうか^^
ちなみに、こういう環境で作る曲はゴージャスな音色や派手なエフェクトで飾ることができません。
なので、シンプルでメロディーがしっかりした曲になります。
こういう曲は、芯が強いので、あとからいろいろなアレンジをしても崩れることがありません。
初期のファイナルファンタジー等のゲームの音楽が、いまなおいろいろな形でアレンジされ続けているのもこういうわけなのですね。(最近も More SQ とか いろいろ出てますね)
そんなこんなで作った音楽は、おなじみプロデューサーの時田さんにチェックしてもらいます。
今回は、シナリオが1年かけて配信されることから、まだ物語がはっきりときまってない段階で、
使われるシーンを想像で作った曲も結構あります。
たとえばこれ...
(一番下の"荒くれ者のテーマ1"をお聴きください)
これなどは、資料は「海賊やドワーフなど荒くれ者のテーマ」という一文のみでしたので、
2パターン作って、時田さんの考える場面に合いそうなものを選んでいただくことにしました。
もう一つのバージョンはこれ、
("荒くれ者のテーマ2"をお聴きください)
この両方を聴いてもらって、判断を待ちます。
さて、時田さんのコメントは...ドキドキ...
「1のほうは、ちょっと勇壮すぎる気がします。」とのことで、
荒くれ者のテーマは、2のほうに決定!
ここまできたらもう少し。
あとは、曲のデータをケータイの音源用に変換する必要があります。
これまた専門的な細かい作業なのですが、この部分は今回外注さんがお手伝いしてくれますので、
僕のほうは変換されてきたものをきいて、リクエストを出すことになります。
こうして、何度かやり取りをして納得いく形になったら、めでたく1曲出来上がりです。
さて、「ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士」ですが、
7月に入り、いよいよ物語もクライマックスにさしかかってきました。
まだ遊んでないという方は、最初の章は無料で遊べますので、
ぜひチェックしてみてください。
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荒くれ者のテーマ1
荒くれ者のテーマ2