SQUARE ENIX MUSIC BLOG Composers & Synhesizer Programmers

鈴木 光人 Mitsuto Suzuki

『ファイナルファンタジー VII リメイク』、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』、『メビウス ファイナルファンタジー』、『スクールガールストライカーズ』などを担当。近年ではゲームのみならず、TVアニメ『スクールガールストライカーズ Animation Channel』の楽曲制作、音楽専門誌での機材レビュー執筆や舞台音楽の制作にも携わっており、多方面で才能を発揮している。

鈴木 光人

鈴木週報「SqChips 水のほとり」Blog限定特別試聴

PSG meets PS2

明日、23日は秋分の日で祝日なので、
今週は前ノリ週報でお届致します。

21日にリリースされた
Sq Chips収録(
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/sq/sqchips/
「水のほとり」で行ったアレンジの手法について軽く触れようと思います。

僕の場合アレンジやりミックスを行う場合、大体下記2パターンに当てはめる事が多いのですが、

●原曲に忠実に音を差し替え、補足する
●原曲を自分の解釈で再構築する

今回は前者にあたります。
Sq Chipsは「チップチューン」という明確なコンセプトがあるので、
可能な限り原曲に沿ってPSG(※)に差し替えたいなと思ったわけです。
原曲「水のほとり」は「FINAL FANTASY XII」でPS2による豊かな音色と抑揚表現を
行っているのに対し、対比的にチープなPSGアレンジにできればこれまた面白いなと。
出発点はそんな感じでした。

具体的なアレンジについては、XIIのマニュピレータを担当した河盛さんから、
生MIDIと呼ばれるオリジナルデータを元に縦軸&横軸、その他諸々+αを行っています。
縦軸調整と言うのは、音の重なりの事で、
抜けの良いPSG音源でコードを鳴らすとうるさくなるので、アルペジオにしてばらしたり、
パートを抜いたり、和声を簡略化したりという作業ですね。
横軸というのは曲の進行=時間の事で、今回は基本原曲に沿った構成ですが、
部分的に繰り返したり構成を変えている部分もあります。

原曲を生かしつつより少ない音数でアレンジしてチープにまとめる、
このあたりが今回の「チップチューン」アレンジのポイントかな。
「あー、ファミコンっぽい!」とか「どっかで聴いたっぽいぞ!」とか思ってもらえると嬉しいです。

というわけで最後に、
オリジナル「PS2音源」+Sq Chips版「PSG音源」を混ぜたバージョンを特別公開~。
(ちなみにこれは仕事の合間に息抜きに編集して作ったアウトテイク)

Blog限定特別試聴Vers.お楽しみ下さい。
 

うーん、こういうライブバンドあったらかっこいいんだけどなぁ。



ではみなさん、良い連休を!


Mitsuto Suzuki

※ Programmable Sound Generator - PSG音源。ファミコン等で使用されている音源チップ。ピコピコ。

【特記事項】
FINAL FANTASY XIIオリジナル・サウンドトラック
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/ff12/

水のほとり PSG meets PS2.mp3