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水田 直志 Naoshi Mizuta

好きなもの: たい焼き(近頃は、皮が薄いのとかいろいろありますが、普通のが好きです)、 コーヒー(淹れるのも含めていいですね)、 iPhone(すかっりはまってしまいました) 写真撮影(オリンパスのe-510を使用中、raw現像もまた楽し) お散歩(遠出からご近所まで)

水田 直志

たとえばアップルのiPodが登場したときのように、ひとつの画期的な製品が世に出ることによって、これまでのスタイルが一変してしまうということはときどきあることです。

音楽制作においても同じようなことがあるのですが、80年代から90年代前半あたりまでは、新しい音源方式のシンセサイザーが新発売されるたびに、世の中のポピュラー音楽のサウンドがガラっと変化していくという面白い時代でした。

そのなかでもひときわインパクトの強かったのが、ヤマハのDX7というシンセの登場だとおもいます。

フルデジタルシンセとして初めて本格的に普及したこのDX7は、デジタルという名前のとおり、それ以前のアナログ機の柔らかいサウンドとはまったく異なる、鋭く、かっちりとした金属的な音を出すことができ、非常に画期的だったのです。

(ちなみに僕が初めて買ったシンセも、このシリーズのDX7sという機種でした。DX7IIFDは高くて手が届かなかった)

このシンセの代名詞ともいえる音色のひとつに、エレクトリック・ピアノの音があるのですが、これなどは、聴いただけで80年代にトリップしてしまいそうなほど、その当時ほんとうにあらゆる曲で使われていたといっていいくらい流行したものでした。

どんな音なのかちょっと聴いてみましょうか。

(下のボタンをクリックしてください。曲は、ファイナルファンタジーXIより"The Grand Duchy of Jeuno"です。ちなみにこの音色はDX7の実機ではなく、ソフトシンセによるエミュレーションです)

さて、このシンセの音色に代表されるような、きらびやかな音が際立つ80年代サウンドですが、今聴くととても特徴的で、ゲーム音楽ではひんぱんには耳にしません。なんといってもクセが強いので、うまくシーンと合う場面が少ないからだと思います。

そんななか、昨日たまたま聴いた、ファイナルファンタジーXIのキャラクターメイキング時の曲で、ミスラという種族を選んだ時の曲。

これがけっこう80年代っぽく、思わずニヤリとしてしまいましたので、こちらも音源をのせておきますね。

そういえば、作曲した谷岡久美さんが、「ファッションショーの音楽みたいにしたい」といっていたのをおもいだしました。

共同アレンジのシンセオペレーター野田さんの音色センスと谷岡さんの楽しげなメロディーが一緒になって、面白い雰囲気です。

というわけで次は野田さん、ぜひこの曲のエピソード、記事にしてください^^

ファイナルファンタジーXIより The Grand Ducthy of Jeuno

ファイナルファンタジーXIより Mithra