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水田 直志 Naoshi Mizuta

好きなもの: たい焼き(近頃は、皮が薄いのとかいろいろありますが、普通のが好きです)、 コーヒー(淹れるのも含めていいですね)、 iPhone(すかっりはまってしまいました) 写真撮影(オリンパスのe-510を使用中、raw現像もまた楽し) お散歩(遠出からご近所まで)

水田 直志

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こんばんは、水田です。

やっと梅雨も明けたようで、いよいよ夏本番ですね!

今日はお知らせを一点。

6月に行われたファイナルファンタジーXIのイベント、「ヴァナフェス」で初ステージを踏んだ音楽ユニット「ナナーミーゴス」が今夜17日、午後9時30分よりネットラジオを放送!

出演は、メンバーのヴァイオリン・岡部まち、ピアノ・伊賀拓郎、ベース&エフェクト・水田直志の3人。

いったいどんな番組になるのやら...ぜひチェックしてみてください!

17日、午後9時30分放送開始予定。

Nanaa Mihgo's Radio

http://www.ustream.tv/channel/square-enix-music-live1

 

ナナーミーゴスってどんなバンド? というかたは、こちら!

 http://www.youtube.com/watch?v=59mkJuFOpe8

こんにちは、水田です。

はやいもので、このブログがオープンしてもう1年。

ここへきて更新頻度もさらに上がってきましたので、これからもお楽しみに!

さて、先週末にiOS向けのアプリとしてリリースされた「ガーディアン・クルス」。皆さんご存知でしょうか?

今までのカードバトルゲームとは一線を画したゲーム性がちょっと話題になっていて、AppStoreでのランキングも今、じわじわ上がってきています。このまま「拡散性ミリオンアーサー」と並んで1位を決めたいところです^^

そんな、「ガーディアン・クルス」

音楽のほうも結構力を入れていて、クオリティ的には、はっきり言って据え置きゲーム機とほぼ同等!

ひと昔前の携帯ゲーム機と違って、最近のスマートファン向けアプリでは、普通に音楽を作ってそれを録音したものをそのままゲーム内BGMとして使用するので、歌モノであろうがフルオーケストラであろうが、なんだって鳴らせます。作るほうとしては、音源の制限なくあらゆる音楽を使うことができるので、これが結構面白いんです。

この「ガーディアン・クルス」では、ゲームの雰囲気が、ちょっとダークなファンタジーの世界でしたので、音楽のほうもあまり奇をてらわず、映画のようなスケール感を感じるような曲で表現してみました。

♪「ガーディアン・クルス」テーマ曲を再生

だんだん興味がわいてきた?

こちらから無料でダウンロードできるので、お手持ちのiPhone/iPod touch/iPadでぜひお試しください!

http://itunes.apple.com/jp/app/gadiankurusu/id502462904

「ガーディアン・クルス」テーマ曲

こんにちは、水田です。

23、24日にパシフィコ横浜で行われた「ファイナルファンタジーXI」の祭典、おかげさまで大盛況のうち終えることができました。

意外な新発表や、楽しいステージイベント、物販や出し物が盛りだくさんで熱気にあふれていましたね。

このフェスティバルがすこしでも盛り上がればと、僕も新音楽ユニット「ナナー・ミーゴス」を結成して、ステージに上りました。

お祭りなのだから、みんなの気分がハイテンションになる音楽にしようとアレンジされた曲は、いままでとはちょっとイメージの違う雰囲気でしたが、聞くところによると、とても多くの方に気に入っていただけたようで、嬉しく思っています。

この新ユニットのみどころは何と言っても、ピアノとヴァイオリンのお二人の魅力につきると思います。

ピアノの伊賀拓郎さんは、抜群のテクニックと豊富な引き出しで、躍動感あふれるピアノを演奏されます。僕は、リハーサルを含めて同じ曲を数回、伊賀さんの演奏で聴いたのですが、本当にプレイごとに毎回違うテイストで、しかもそのどれもがいい感じで、これがレコーディングだったらテイク選びが大変だぞ、と思いました。(もちろんいい意味で)

そして、ヴァイオリンの岡部磨知さん。

チャーミングでふんわりした雰囲気の方ですが、演奏されるヴァイオリンの音は、のびやかでとても気持ちいい!ずっと聴いていたくなるステキな音色です。

というわけで、今までなかった新しいカラーで魅力たっぷりの「ナナー・ミーゴス」、今回の初ステージで方向性は見えました!

 このさき、いい感じに育っていく予感がします。

たとえばアップルのiPodが登場したときのように、ひとつの画期的な製品が世に出ることによって、これまでのスタイルが一変してしまうということはときどきあることです。

音楽制作においても同じようなことがあるのですが、80年代から90年代前半あたりまでは、新しい音源方式のシンセサイザーが新発売されるたびに、世の中のポピュラー音楽のサウンドがガラっと変化していくという面白い時代でした。

そのなかでもひときわインパクトの強かったのが、ヤマハのDX7というシンセの登場だとおもいます。

フルデジタルシンセとして初めて本格的に普及したこのDX7は、デジタルという名前のとおり、それ以前のアナログ機の柔らかいサウンドとはまったく異なる、鋭く、かっちりとした金属的な音を出すことができ、非常に画期的だったのです。

(ちなみに僕が初めて買ったシンセも、このシリーズのDX7sという機種でした。DX7IIFDは高くて手が届かなかった)

このシンセの代名詞ともいえる音色のひとつに、エレクトリック・ピアノの音があるのですが、これなどは、聴いただけで80年代にトリップしてしまいそうなほど、その当時ほんとうにあらゆる曲で使われていたといっていいくらい流行したものでした。

どんな音なのかちょっと聴いてみましょうか。

(下のボタンをクリックしてください。曲は、ファイナルファンタジーXIより"The Grand Duchy of Jeuno"です。ちなみにこの音色はDX7の実機ではなく、ソフトシンセによるエミュレーションです)

さて、このシンセの音色に代表されるような、きらびやかな音が際立つ80年代サウンドですが、今聴くととても特徴的で、ゲーム音楽ではひんぱんには耳にしません。なんといってもクセが強いので、うまくシーンと合う場面が少ないからだと思います。

そんななか、昨日たまたま聴いた、ファイナルファンタジーXIのキャラクターメイキング時の曲で、ミスラという種族を選んだ時の曲。

これがけっこう80年代っぽく、思わずニヤリとしてしまいましたので、こちらも音源をのせておきますね。

そういえば、作曲した谷岡久美さんが、「ファッションショーの音楽みたいにしたい」といっていたのをおもいだしました。

共同アレンジのシンセオペレーター野田さんの音色センスと谷岡さんの楽しげなメロディーが一緒になって、面白い雰囲気です。

というわけで次は野田さん、ぜひこの曲のエピソード、記事にしてください^^

ファイナルファンタジーXIより The Grand Ducthy of Jeuno

ファイナルファンタジーXIより Mithra

祝!「ファイナルファンタジーXI」サービス開始10周年

昨日の岩崎さんのブログに続き、僕も当時のことを思い出して書いてみたいと思います。

いまでこそ、ゲームがネットにつながっているというのは当たり前の話ですが、当時はまだまだ一般的ではなく、僕も"UltimaOnline"というゲームを知識として知っているという程度でした。

ましてや、FFXIのように多人数が同時にネットにつないで同じ世界で遊ぶMMORPGというジャンルのゲームは、まだほとんどの人がどのようなものか理解すらしていないような感じでした。

そんな状況だったので、これから作ろうとするMMORPGというゲームはいったいどんなゲームなのかということを、まずはひととおり体験して理解するために、会社から1台のPCと、そのジャンルで代表的な、ある1本のゲームソフトが渡されました。サウンド代表として僕の部屋にそのPCをおいて、そのゲームをみんなで遊んでみることになったのです。

その場には、同僚の岩崎さん、山崎さん、そして唯一そのゲームの経験者である矢島さんなどが一緒にいたと記憶しています。

ゲームをインストールして、キャラクターを作ってというところまでは、いままでのゲームと変わりありませんでした。

名前やクラス(ジョブ)を決めて、さて、いよいよゲームのフィールドに降り立ちました。ぽつんと立つ自分のキャラクター。

なにか途方もなく広大な、未知の世界に突然連れてこられたようで、何をすればよいのか全く分からず呆然と立ち尽くしている自分。

すると、ふと目の前を自分とよく似たエルフのキャラクターが走り抜けていきました。そのとき、僕の後ろでいろいろ教えてくれていた矢島さんがひと言、

「いまのはPCっすね」

僕:「えっ、PCって?」

矢島さん:「ですから、どこかで誰かが操作しているキャラということです」

それをきいた瞬間の衝撃を今でも覚えています。

見知らぬだれかが、一緒にこの画面の中にいる!?

どういうことだと、周囲をうろうろ歩いてみました。

すると、今駆け抜けていった人だけでなく、他に何人もの人が、会話をしたり、モンスターのようなものと戦っているのが目に入りました。

僕:「これ全部誰かが操作しているキャラなの?」

矢島さん「そうですね。ホラ、あそこではパーティー組んで戦っていますよ」

こ、これは、とんでもないゲームだ...ゲームというか、これはもう世界そのものじゃないか...と感動で胸がいっぱいになりました。

いままでゲームといえば、たとえどんな大作であっても、すべてはあらかじめプログラムされてCDやDVDに焼きこまれて固定されたデータであり、プレーヤーが再生していくそれらは有限であるという限界がありました。(そこには、たしかに美しいグラフィックで描かれたマップや素晴らしいストーリーやがありましたが)

しかし、いま体験したゲームは全く概念からして違う。

会話をすれば、生身の人間と会話することであって、あらかじめ用意されているデータが表示されるのではない。

バトルをすれば、ヒール(ケアル)してくれるのは誰かが実際にそうしてくれてるのであって、けしてプログラムされたものではない。

これを究極のゲームといわずしてなんという!!

それくらいの勢いで、本当に興奮してしまったものです。

その日は、みんなが帰ってしまってからも終電ぎりぎりまで遊んでしまいました。

そして、気がつくとMMORPGの底なしの魅力に取りつかれてしまったのです。

...開発のお話とはちょっと関係のない話題になってしまいましたね。

ただ、それくらいの衝撃が当時はあったということです。


さて、FFXIの音楽をどうしようかとあれこれ考えていたある日、植松さんがひょっこり僕のブースに現れました。

植松:「みずたー、テトラマスターっていうゲームの音楽の仕事があるんだけど、やってもらえるかな~?」

水田:「えっ、植松さん、もう僕FFXIやるだけで本当にいっぱいいっぱいで、なんせ初めてFFやらせてもらえることになって、とてもじゃないけどそんな余裕ありまs」

植松:「えっ、やってくれる!? ありがとう!  じゃ、よろしくー!!」

てなわけで、「テトラマスター」というカードゲームの音楽も同時に担当することになりました。

(ちなみにそのゲームのディレクターは、現在「キングダムハーツ」シリーズのCo.ディレクターとして活躍中の安江さん)

今から考えるとこのゲームを担当してとてもよかったと思います。

というのは、FFXIの音楽は、岩崎さんのシンセ・オペレートとタッグを組んでやることになっていたのですが、まずはこのゲームを先にやることでお互いを知るきっかけとしてよいスタートアップになったのです。(のちに野田さんも合流)

それまで僕は、作った曲をプレイステーションの内蔵音源に載せるところまで自分でやっていたので、このように作曲から先の手順を人任せにしたことはありませんでした。

もちろん岩崎さんの仕上がりに期待はしていましたが、それと同時に、ちゃんと意図したとおりの音に仕上げてもらえるのかという不安も少しはあったと思います。(今では考えられないことですが)

さて、テトラマスターではじめて岩崎さんと仕事をすることになって、まず驚いたのは機材の量!

 ラックにうず高く積み上げられたシンセサイザーとサンプラーの山をみて嬉しくなってしまいました。これらを駆使して曲を仕上げてもらえるのだな、と。

実際作業が始ってみると、本当に楽しかったのを思い出します。

たとえば僕が、こんな感じの笛の音ないですかというと、「ホイきた」とばかり出てくる笛の音色の数がハンパない。

聞いたことのない笛の音を出してくれたり、こんなのはどうでしょう?では、これは?という具合にで、まさに人間検索エンジン。とても頼もしかったです。

また、そんなのどっちでもいいじゃないかというような細かいこだわりでも、いやな顔一つせず修正につきあってくれて、ありがたかったです。

扱う機材にもこだわりがありました。

ケーブルは極太の特注品。

 普通のオーディオケーブルは、先端を機材のINとOUTのどちら側に差し込むかはとくに決まっておらず、どちらでもいいのですが、そのケーブルは違いました。

楽器のOUTに差し込むほうと、録音機材のINに入れるほうとが指定されているのです。

シンセの音色をデジタルデータに変換するADコンバーターという機材も、目玉が飛び出るような高額の機材を使っており、正直、PS2の内蔵音源にするにはもったいないような使い方でした。

ただ、実際の音色もよかったですし、そういう姿勢で曲を仕上げてくれる仲間にこちらも気が引き締まる思いでした。

そうやってテトラマスターができ上がるころには、お互いばっちり信頼関係も築くことができ、来るべきFFXIの曲の仕上げも安心して任せることができるようになっていました。

話はテトラマスターの話題になってしまいましたが、僕の中で当時の制作の様子はこのあたりと切っても切れず、一緒になっているのです。

「ファイナルファンタジーXI」の音楽開発は、このようにして幕を開けました。


さて、お読みいただいた皆様に感謝の気持ちをこめて「テトラマスター」の曲を1曲お届けします。

ここでしか聴くことのできない、未CD化音源です!

(写真は、当時の開発資料。手書きのカレンダーは、締め切り前のぎりぎりの状態、スケジュールで苦労している様子)

 

IMG_3553(mizuta).jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テトラマスター」より

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