ABSYNTH6 復活! - 時代を先取りしすぎたシンセ
Native Instruments Komplete 14 以降ディスコンとなっていた ABSYNTH が、
ABSYNTH 6 として復活した。
最初に触ったのは ABSYNTH 3(2004年)。
特徴的な緑色の GUI と、複雑な多段エンベロープが強烈な第一印象だった。
当時はまだグラニュラーを搭載したソフトシンセ自体が少なく、かなり異質な存在。
時間軸がイカれたシンセパッドや独創的なサウンドは、他では代用できないほど尖っていた。
一方で、その尖りすぎた個性ゆえに、汎用性や制作スピードを求められる現場では、
結果的に僕の環境ではスタメン入りしなかったのも事実で、沼すぎた苦い記憶がある。
自由度の高さと引き換えに、面倒さが勝ってしまったのだ。
(図1)復活をとげたABSYNTH 6 。特徴的なブラウザ Preset Explorer 。拡大縮小などトラックパットとの相性良し。
さて、新しくなった ABSYNTH 6 を触ってみると、
かつての尖ったイメージが、良い意味で柔らかくなった印象を受けた。
新たに刷新された未来的なブラウザ Preset Explorer は豊富なプリセットを
カテゴリーと視覚の両面から欲しい音色を素早く見つけることができ、瞬時にプレビューできるのがありがたい。
なにより、決してイージーとは言えなかった操作性も、GUI が変わるだけでずいぶんシンプルに
感じるのが面白い。「こんなに簡単だったっけ?」と、自分の"適当加減"が露呈して可笑しくなる。
プリセットを生成する 「Mutator」機能 が追加されたのも、いかにも今風なアップデートと言えるだろう。
減算、FM、ウェーブテーブル、グラニュラーと、てんこ盛りの音源方式。
チャンネルオシレーターは 3 つ。ルーティングを目的に合わせてパッチングできる
自由度の高い構成になっている。
一見複雑そうに見えるが、チャンネル間のエンベロープのコピペや、トータルフィルターの設定、
ADSR など、音作りに必要なポイントを見極めれば、意外とシンプルなシンセとも言える。
ただし、チャンネル間のコピペにショートカットが使えるとさらに快適なので、
このあたりは今後のアップデートに期待したいところだ。
(図2)Ch1〜3 でピッチを変えたコードトーンを作成例。オシレーターとしてサンプルも使用可。
例えばイニシャライズから波形を選び、3 つのオシレーターのピッチを設定し、
ピッチエンベロープで複数の時間変化のカーブを描き、パンニングで幅を作り、
フィルターで整え、エフェクトで空間を歪める。
こうして一連の流れをイメージすると、考え方自体は古典的なシンセと何ら変わらず、
あとは目的と使い方次第だ。
相変わらずエンペロープ活用など自由度は高く音作りは奥深い。
しかし今は、その深さに辿り着くまでの距離が短くなった。
結果として「面倒なシンセ」から「腰を据えて向き合えるシンセ」へと変化した印象だ。
サンプルを読み込めたり、エフェクターにもなるシンセが当たり前になった今、
ようやく時代が ABSYNTH に追いついた。
ABSYNTH 6 は、そんな再評価に値する存在だと言えるだろう。

















